当連結会計年度における我が国の経済は、原材料価格の高騰など不安材料があったものの、輸出の増大や個人消費の増加により一部企業の収益に改善が見られ、景気は緩やかに回復を続けました。
当社グループの主力事業であります業務用厨房機器製造販売業につきましては、販売先である外食・中食産業の総マーケットが僅かな減少傾向にありますが、当社グループが定めた集団給食関係6業種、並びに外食チェーン、スーパーマーケットの主要8攻略先に対する重点的な拡販と、全国の一般飲食店へのきめ細かな訪問活動により売上高は堅調に推移いたしました。一方、ベーカリー機器製造販売業につきましては、当連結会計年度より連結決算の対象となりましたが、積極的な訪問活動が成果となりグループ売上高に大きく貢献いたしました。ビル賃貸業につきましては、平成16年9月に新たな賃貸物件MB大阪が竣工し、業績は順調に推移いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は322億45百万円(前連結会計年度比10.9%増)、経常利益は27億62百万円(同10.2%増)、当期純利益は13億71百万円(同13.6%増)となり、前連結会計年度に続いて売上高、利益ともに創業以来の過去最高を達成いたしました。
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
@業務用厨房機器製造販売業
業務用厨房機器製造販売業の販売先であります外食・中食産業の年間マーケットは外食24兆円、中食6兆円、あわせて30兆円の市場といわれておりますが、特に外食産業の一般飲食店市場は既存店の業績が低調で減少傾向にあり、全体としても市場規模は僅かに縮少を続けております。しかしながらシェアの維持・拡大を目的に特徴的なメニューや店舗、適正価格へと見直しを図り新規出店を続ける企業が多く、また集団給食分野の福祉・老健施設は高齢化社会の進展で施設数が続伸しております。一方、中食産業においても特にスーパーマーケットが新規出店やリニューアルに積極的であります。
業務用厨房機器の年間マーケットは約4,000億円といわれておりますが、その中で各企業とも熾烈な価格競争に陥っております。一方ではお客様からの要望も高度化・多様化しており、低価格を維持しながら高品質・高機能、安全性も高い製品に対する需要が高まっております。さらには品揃えや営業提案、短納期、アフターサービス、お客様専用の特注製品対応に至るまで、総合的なサービス体制を整える大手メーカー志向が顕著であります。
このような中、当社グループといたしましては、お客様からの要望である総合的なサービス体制について、より一層の充実を目指し、研究開発から製造、販売、配送、アフターメンテナンスにいたるまで、一貫した自社サービス体制の強化を図ってまいりました。
特に営業部門におきましては、お客様のご要望を直接お伺いし提案できる直接販売の強化と同時に営業人員の増強を図り、当社グループが重要な拡販先として定めた集団給食関係6業種、並びに外食チェーン、スーパーマーケットの主要8攻略先、そして全国の一般飲食店に対し、きめ細かな訪問活動を推進して販売を強化してまいりました。
研究開発部門におきましては、病院・福祉施設向けの「温冷配膳車」や、学校給食、中・大型施設向けの「ガス回転釜」等、主要8攻略先対応製品をメインに、一般飲食店向け製品を含め5シリーズの新製品を開発、発売いたしました。
製造部門におきましては、工作機械等の設備投資を継続し、かつ稼働率を高めて生産の合理化と内製化によるコストダウンに取り組み、当社グループの利益確保に全力を注ぐ一方、お客様の要望である特注製品の対応にも注力してまいりました。特に当連結会計年度に当社の埼玉工場を子会社マル厨工業株式会社に移管・統合しており、これによりそれぞれの工場の特長を活かした、より効率的な生産体制の構築と原材料価格の高騰分の吸収に努めてまいりました。
配送部門におきましては、原則自社便と社内スタッフによる安心と安全の納品体制について、一層の充実を図ってまいりました。
しかしながら売上高としては計画を達成したものの、特に営業部門において主要8攻略先における競合が激しく荒利率が低下したこと、並びに大型物件等の増加により主に配送費が嵩み販売費が増加したこと、一方、製造部門においても効率経営による原材料価格の高騰分の吸収が精一杯で、営業部門の減益分をカバーすることができず、営業利益は減益となりました。
以上により、業務用厨房機器製造販売業の売上高は298億98百万円(前連結会計年度比3.8%増)、営業利益は29億34百万円(同1.7%減)となりました。
Aベーカリー機器製造販売業
当連結会計年度より連結対象となったベーカリー機器製造販売業を担う株式会社フジサワ・マルゼンにつきましては、販売先である製パン製菓業界が他の業界と同様に企業間競争が熾烈化している中で、全国を網羅したマルゼンのサービス体制を活かしたグループによる協力体制のもと、積極的な訪問活動等の営業展開により既存顧客の繋ぎ込みと新規顧客の開拓を実施したことが売上高と利益に成果となりました。
以上により、ベーカリー機器製造販売業の売上高は21億9百万円(セグメント間の内部売上高を含む)、営業利益は1億35百万円となりました。
Bビル賃貸業
ビル賃貸業につきましては、平成16年9月に4ヵ所目となる新たな賃貸物件MB大阪が竣工したことにより増収となりましたが、竣工に伴う初期費用が発生したため営業利益は減益となりました。
以上により、ビル賃貸業の売上高は3億81百万円(前連結会計年度比29.4%増)、営業利益は1億13百万円(同4.9%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が26億60百万円(前連結会計年度比8.2%増)でありましたが、法人税等の支払額の増加、有形固定資産の取得に伴う支出の増加等により当連結会計年度末には18億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億75百万円(同23.5%減)減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が26億60百万円計上されたこと等により14億51百万円の収入となりましたが、事務の合理化等により小口仕入代金の支払を手形より現金に促進したことにより仕入債務の増加額が2億98百万円(同66.6%減)減少したこと、また、法人税等の支払額が2億88百万円(同22.6%増)増加したこと等により、前連結会計年度に比べ9億86百万円(同40.5%減)減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、MB大阪の建設工事中間代金支払等で資金を使用したこと等により、有形固定資産の取得による支出が9億35百万円(同107.9%増)増加し、前連結会計年度に比べ7億90百万円(同109.3%増)増加の15億13百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済を行いましたが、前連結会計年度に比べ借入金の返済額が3億80百万円(同59.7%減)減少したため、前連結会計年度に比べ3億61百万円(同41.3%減)減少し5億13百万円の支出となりました。
当社グループの事業は、「業務用厨房機器の製造、仕入および販売」、「ベーカリー機器の製造、仕入および販売」および「ビルの賃貸」を主たる業務としております。
当連結会計年度の「生産、受注及び販売」の状況を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりであり、「業務用厨房機器製造販売業(熱機器、作業機器規格、作業機器オーダー、部品他、冷機器および調理サービス機器)」および「ベーカリー機器製造販売業(ベーカリー機器およびベーカリー関連機器)」については品目別の実績を提示しております。
なお、ビル賃貸業については、「生産実績、製商品仕入実績および受注実績」の該当事項はありません。
また、「ベーカリー機器製造販売業」については、当連結会計年度より連結の範囲に含まれた初年度となるため、前年同期の比較は行っておりません。
区分 |
当連結会計年度 (自 平成16年3月1日 至 平成17年2月28日) |
前年同期比(%) |
熱機器(千円) |
7,626,557 |
86.3 |
作業機器規格(千円) |
1,559,678 |
91.6 |
作業機器オーダー(千円) |
3,451,525 |
107.0 |
ベーカリー機器(千円) |
1,623,493 |
− |
合計(千円) |
14,261,255 |
103.6 |
(注) 金額は販売価格により記載しており、消費税等は含まれておりません。
区分 |
当連結会計年度 (自 平成16年3月1日 至 平成17年2月28日) |
前年同期比(%) |
熱機器(千円) |
85,589 |
− |
作業機器規格(千円) |
192,030 |
62.8 |
ベーカリー機器(千円) |
114,360 |
− |
合計(千円) |
391,980 |
128.2 |
(注) 金額は販売価格により記載しており、消費税等は含まれておりません。
区分 |
当連結会計年度 (自 平成16年3月1日 至 平成17年2月28日) |
前年同期比(%) |
冷機器(千円) |
5,407,503 |
109.2 |
調理サービス機器(千円) |
9,091,709 |
105.6 |
ベーカリー関連機器(千円) |
103,488 |
− |
合計(千円) |
14,602,701 |
107.7 |
(注) 金額は販売価格により記載しており、消費税等は含まれておりません。
(4)品目別受注実績
区分 |
当連結会計年度 (自 平成16年3月1日 至 平成17年2月28日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比(%) |
|
作業機器オーダー(注)1 |
3,456,515 |
111.5 |
688,302 |
908.7 |
ベーカリー機器 |
1,682,534 |
− |
551,855 |
− |
合計 |
5,139,049 |
165.7 |
1,240,158 |
1,637.3 |
(注)1.業務用厨房機器製造販売業受注の作業機器オーダーであり、規格品および部品他については見込生産を行っているため、該当事項はありません。
2.金額は販売価格により記載しており、消費税等は含まれておりません。
区分 |
当連結会計年度 (自 平成16年3月1日 至 平成17年2月28日) |
前年同期比(%) |
製品 |
|
|
熱機器(千円) |
8,098,960 |
98.6 |
作業機器規格(千円) |
2,173,986 |
100.1 |
作業機器オーダー(千円) |
2,843,008 |
108.5 |
部品他(千円) |
2,347,530 |
104.4 |
ベーカリー機器(千円) |
1,863,328 |
− |
小計(千円) |
17,326,813 |
113.6 |
商品 |
|
|
冷機器(千円) |
5,673,531 |
106.4 |
調理サービス機器(千円) |
8,761,055 |
106.8 |
ベーカリー関連機器(千円) |
103,492 |
− |
小計(千円) |
14,538,078 |
107.4 |
製商品計(千円) |
31,864,892 |
110.7 |
ビル賃貸業計(千円) |
381,031 |
129.4 |
合計(千円) |
32,245,924 |
110.9 |
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主要顧客(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものはありません。
3.「ベーカリー機器」には、アフターメンテナンスサービス分を含んでおります。
今後の見通しといたしましては、原材料価格の高騰により引き続き予断できない経済状況にあります。また当社グループの主な販売先である外食・中食産業につきましては、総市場は減少傾向にありますが、女性の社会進出や高齢化社会の進展等により、比較的安定して推移していくものと思われます。
このような状況のもと、業務用厨房機器製造販売業におきましては、営業部門における荒利確保や、製造部門における合理化・コストダウン等、全社が一丸となって利益の確保を目指し、原材料価格の高騰分の吸収に努めていく所存であります。
特に営業部門におきましては、当社グループが定めた主要8攻略先や全国の一般飲食店に対する拡販体制を強化して売上高計画の達成に邁進すると同時に、荒利率の改善や経費削減に取り組んでまいります。一方、製造部門におきましては、生産の合理化と内製化によるコストダウンを徹底するとともに、集中購買方式の本格化や効率的な生産体制の確立など、3工場の統合メリットを最大限に発揮させてコスト削減を推進し、利益確保に努めてまいります。一方では、お客様に安心してご使用いただける製品をお届けするため、品質向上や安全性の確保に重点を置いた生産体制の構築に注力してまいります。研究開発部門におきましては、主要8攻略先向け機種をメインに、広く外食・中食市場に向けた新製品の開発と既存製品の見直しを積極化し、全体売上高に対する自社製品比率を高め、会社利益に寄与させてまいります。
ベーカリー機器製造販売業につきましては、グループによる協力体制のもと積極訪問による拡販体制の強化を進め、マーケットシェアの拡大に全力を注いでまいります。
ビル賃貸業につきましては、前連結会計年度に竣工した新たな賃貸物件MB大阪が通年の寄与となるため、当社グループの売上高と利益に大きく寄与致します。
なお売上高では前期比4.4%増を計画しているものの、利益面では厳しい価格競争の中で原材料価格の高騰は今後も続くと思われ、販売価格の値上げも難しく、前連結会計年度に対し微増を計画しております。
当社グループといたしましては、積極的な売上拡大方針のもと具体的にシェア10%となる売上高400億円を第一ステップの目標としており、今後ともお客様からのご要望である総合的なサービス体制についてより一層の充実を目指し、一貫した自社サービス体制の強化を進め、業績の向上に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績、財政状態等、また投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。
なお、本項目における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)販売先市場の動向について
当社グループの製品の主な販売先は外食・中食産業であります。外食産業に含まれる福祉・老健施設や中食産業の市場は年々拡大傾向にあり、当社グループはこれらの業種に対する拡販体制を強化する営業政策を採っております。しかしながら最も大きな外食産業の市場である一般飲食店市場は近年縮少傾向にあり、経済情勢やBSE等の外的要因により民間設備投資が大きく減退する局面においてはこの傾向がなお一層強まり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)製造物責任について
当社グループでは、社内検査体制の強化等により製品の安全性確保に努めておりますが、お客様の当社グループの想定を超えるような製品の使用方法(使用環境を含む。)により、予期せぬ不具合や事故が発生することも考えられます。その結果、当社グループがPL法(製造物責任法)による損害賠償責任を問われることも予想され、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)自社製品への依存について
当社グループはメーカーでありますが、営業政策上、自社製品の販売だけでなく仕入商品の販売も併せて行っております。しかしながら利益確保の観点からは、当社グループにおける自社製品の販売強化が要諦であり、全売上高に対する自社製品の販売比率が何らかの事情により著しく低下した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)調達資材の価格変動について
当社グループの製品の生産活動に当たっては、鋼材や部品等の資材を適宣に調達しておりますが、原油や原材料の価格が高騰する局面においては、取引業者から仕入価格の引き上げ要請があるものと予想されます。当社グループといたしましては、常に市況価格に留意しながら、随時価格交渉を行っておりますが、市況価格が大幅に高騰し、かつ製品の販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)災害等について
当社グループの製造工場は福岡県、青森県、埼玉県および兵庫県に立地しておりますが、これらの地区において何らかの災害が発生し、かつ他の製造工場で生産をカバーできなかった場合は生産活動のみならず営業活動にも支障を来し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。