製パン・製菓業界では、「天板」を用いてお菓子やパンを焼き上げていきます。
その天板の種類は実に様々な種類やサイズがあり、厨房の規模や使いやすさに合わせて使い分けます。
今回は天板にはどのような種類があるのか、適したオーブンなども併せてご紹介します。
天板とは
一般的に、オーブンでパンやお菓子などを焼くときに使う四角い板状の器を「天板」と呼ぶ。
(参考)英語では、「baking tray」 または 「baking sheet」
直焼きするフランスパンやドイツパンなどのパン(ハード系パン)もあるが、それ以外のパンや洋菓子の大半は天板を使って焼成する。
材質や表面の加工など様々な種類の天板があり、フッ素樹脂加工などのコーティングがしてあると、焼いた後の天板に生地が張り付きにくくなるので、作業性が良くおすすめ。
コーティングがない場合、離型油りけいゆを塗ったり、冷板オーブンシートやベーキングシートを使用することになるので、作業負担とコストがかかる。
また「冷板」といい、焼成用でなく、冷やしたい生地を冷凍・冷蔵するためだけの天板もある。
冷板は、製パンにおいては生地玉を大量に仕込み、冷凍・冷蔵で保存しておき、必要な分だけ成型・焼成するという、効率の良い作業もできます。
また、製菓においてはケーキやトッピングを冷やすなど様々なシーンで使用する必需品です。
色々な天板の種類、サイズを詳しく見ていきましょう!
天板の種類・サイズについて
天板は「日本規格天板」と「ヨーロッパ規格天板」の2種類。
日本規格天板(日本天板)
サイズは2種類。(へりの外寸法)
・六取天板(530×380×高さ)
・八取天板(430×340×高さ)
材質は、アルタイト(鉄にアルミメッキ加工)が主流。
「六取」「八取」の由来は、ある1枚の鉄板から取れる枚数で言い分けられている。従って、六取天板の方が大きなサイズとなる。
ヨーロッパ規格天板(欧州天板)
サイズは3種類。(へりの外寸法)
・600×400×高さ
・450×350×高さ
・400×300×高さ (600×400のハーフサイズ)
材質は、アルミで表面にテフロン加工したものが主流。
日本天板はベーカリー店、欧州天板は洋菓子店で多く使用されています。
また、天板の高さも様々ですので、用途によって高さを選ぶと良いでしょう。
焼成量の目安
「1回転当りの焼成量=1天板当りの個数×1窯の投入天板数」
※これに加熱時間を考慮する。
例)
~デッキオーブン2枚差1段の場合~
あんぱん(焼成前重量約100g)は六取天板に15個
焼成量:15個×2枚(1窯2枚差)=30個
⇒加熱時間を13分と仮定すると、1時間に約4回転できる。
1時間当りの焼成量:30個×4回転=120個
この計算式を踏まえて
マルゼンの機種に当てはめてみましょう。
デッキオーブン
例)あんぱん(生地+餡=100g) 焼成時間:約15分(天板差替時間を含む)
例)シフォンケーキ(18cm型) 焼成時間:約40分(天板差替時間を含む)
コンベクションオーブン
例)クロワッサン(60g) 焼成時間:約20分(天板差替時間を含む)
例)プリン(40g) 焼成時間:約15分(天板差替時間を含む)
上記はあくまでも目安であり、生地サイズや成型、並べ方によって多少の変化はありますのでご注意ください。
上記は「日本天板」と「欧州天板」の代表のサイズを抜粋しての紹介でした。
次に各サイズの1枚当りの焼成量も見てみましょう。
焼成量の計算の目安にしてみてください。
天板1枚当りの焼成量の目安
製パン類
※イメージ図
製菓類
※イメージ図
図はあくまでも目安です。サイズや発酵の具合によって数は変わりますので、参考にしてみてください♪
マルゼンの「ベーカリー・パティスリー機器」カタログ表記について
使用する天板により、機種選定が決まる。
*日本天板・・・・・・・・・・型式:PJ□-
*日本天板・欧州天板共用・・・型式:PE□-
※欧州天板は天板の最大サイズ(600×400)のため、
それよりも小さい日本天板と共用する事ができる。
天板の投入枚数(最大値)
デッキオーブン
プリンス(P□□-)に関しては、さらに天板投入方向・枚数もお選び頂けます。
詳しくは、『庫内仕様による焼成メニューの違い』の回の「庫内においての天板方向一覧」をご覧ください。
『庫内仕様による焼成メニューの違い』の回をみる
デッキオーブンは上記の表では1段の設定ですが、窯を2段、3段と 重ねると焼成量は2倍、3倍になります。
コンベクションオーブン
このように、機器の仕様によって投入できる天板の種類やサイズが変わりますのでご注意ください。
デッキオーブン・コンベクションオーブンの両方をお求めの際は天板の種類とサイズを統一する事をおすすめします!
ひとことで「天板」といっても様々な種類がありましたね!
最近では、各メーカーによって天板表面の材質の開発がされていて「こびりつきにくい」、「焼色が付きやすい」、「熱伝導が良い」などの特殊な加工がされた天板もありますのでチェックしてみてください。
今回は皆様の商品作りのお供の「天板」についてご紹介しました。
天板のサイズからもオーブンご購入のヒントになると思います。
是非参考にしてみてくださいね。