Vol.21 紀伊乃国屋 いっぺ

2026.09.04

Vol.21 紀伊乃国屋 いっぺ
Vol.21 紀伊乃国屋 いっぺ

紀伊乃国屋グループと言えば、千葉県は安房郡鋸南町を中心に多数の宿泊施設を展開し、客室稼働率90%超という驚異の集客率を誇る「予約の取れない宿」として名を馳せている。同グループの特徴として「個人のお客様」にフォーカスしたサービスが挙げられ、お料理の提供は多くの施設で部屋食としているほか、客室露天風呂を備えた施設も多く、または離れの一軒家のような施設もあったりと、お客様の時間を極力邪魔しないような気配りが随所に施されている。

そんな紀伊乃国屋グループが2026年6月に新たにオープンさせたのが「いっぺ」だ。同地で長年親しまれてきた老舗の「小瀧旅館」。その築100年超の老舗旅館を当時の趣を残したままリニューアルし、今回の「いっぺ」が誕生した。


■趣ある7棟の日本建築が「いっぺ」として甦った。

「いっぺ」のテーマは「酒旅」。千葉県が誇る数々の地酒を、同じく千葉県が誇る海の幸、山の幸と合わせてこの趣ある日本家屋でいただく。眼前には国定公園にも指定されている元名海岸の美しい眺めが広がり、美味しいお酒、料理とともにゆったりした時間を楽しむ。

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■目の前には元名海岸の美しい眺めが広がる。

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■房総の銘酒がズラリ。

早速、代表取締役の蛭田憲市社長にお話を伺った。

コンセプトは「日本酒×日本建築」

--これまでの紀伊乃国屋グループの宿のコンセプトは「上質な宿でのくつろぎ」という滞在全体のイメージを訴求するような印象でしたが、今回の「いっぺ」は明確に「地酒」という食材軸の魅力を打ち出しているように感じます。その辺りも含めて今回のプロジェクトの経緯を教えていただけますでしょうか。



■紀伊乃国屋グループ 蛭田憲市社長

「あまり知られていないけど千葉って実は米どころで、長狭米や多古米など美味しいお米が取れる。そして水もいいので酒造りも盛ん。なのに全然世に出ていない。千葉って奥ゆかしいんだか広報が本当に苦手で(笑)。例えば全国で唯一、明治神宮に毎年お酒を奉納している酒蔵は鴨川市にある(亀田酒造)。その昔、明治天皇の即位の礼で振る舞われるお酒に選ばれたことがあって、明治神宮での重要なお祝いはここのお酒を使っている

蛭田社長は続ける。

「そういう格別なお酒が千葉にはたくさんある。そしてこの建物はもともと大正時代と明治時代に建てられているんだけど、やっぱり日本建築と日本酒ってとにかく空気感というか相性が良い。その当時の建物をしっかり活かして再現させて、地物の食材とお酒でお客様をもてなしたい。そういうコンセプトで作った」

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■これぞ日本建築という佇まいの「いっぺ」。

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■趣ある天井の梁など随所に当時の面影が残る。

千葉の豊かな食と屋号「いっぺ」の由来。そして鋸南町のアクセスの良さ。

趣ある日本建築と房総の誇る美味しい銘酒。それらを楽しむ上でもちろん欠かせないのが”食”だ。そこでも千葉には大きなアドバンテージがあると蛭田社長は言う。

「千葉は食材にとても恵まれていて、例えば伊勢海老は日本一獲れてるし金目鯛だって日本一に近い。アワビや貝類もたくさん獲れる。それに畜産の産出額も全国7位。そして千葉って環境がいいので、実は栄養価の高い天然の美味しいイノシシとかが獲れるんです。千葉のジビエってあまり聞いたことないでしょ?でも実は都内のミシュランを取ってるレストランでも提供されていたりする。そういう千葉の美味しい海の幸、山の幸に千葉の美味しいお酒を合わせてもらって、お客様に喜んでいただきたい」

また蛭田社長は屋号「いっぺ」の由来についても話してくれた。

「『いっぺ』というのはこっちの房総の方言で『いいだろう?』という意味。それからお酒を飲む時にも『いっぺやんべよ。もういっぺ』とも言う。それから『いっぱい』とかね。いっぱい美味しいものを食べさせるときに『いっぺえ出す』なんて言ったり。そういう複合的な意味を持たせて、旅館の名前を『いっぺ』にした」

まさに提供するお酒から食材から旅館の屋号まで房総へのゆかりに溢れているのだ。

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■千葉の豊富な海の幸。

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■栄養価の高い新鮮なジビエ。

蛭田社長は続ける。

「そしてここ鋸南町は東京から1時間で来れる。ここから車を1時間走らせると東京駅の地下駐車場に着いてしまう。ありえないでしょう?だってこの          

蛭田社長は眼前に広がる元名海岸の美しい景色を身振りで示し、「別世界でしょ?」と言って笑顔を見せた。

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■東京から1時間で辿り着ける別世界、鋸南町。

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■隣接の「ゆうみSauna Cafe」からも格別の眺め。

100億宣言と3つの柱

創業以来、鋸南町を拠点として宿泊・飲食施設を展開してきた紀伊乃国屋グループだが、今年3月には箱根の「(旧)箱根湯本 ホテル明日香」をM&A、「HOTEL nehako」としてリニューアルオープンしている。これまでとは異色の取り組みに至った経緯とその目指すところを伺った。

「国が推進してる100億宣言って知ってる?紀伊乃国屋グループは100億宣言をしているんだ。売上高100億の企業になることを目指してる。その実現のための3本の柱があって、1つがこの鋸南町でのドミナント戦略。そしてもう一つがM&Aなんだ。

【100億宣言】

中小企業庁ならびに中小機構が2025年よりスタートさせた取り組み。中小企業が飛躍的成長を遂げるために経営者自ら「売上高100億円」という目標を目指し、実現に向けた取組を宣言することで中小企業成長加速化補助金等の制度に申請できる。紀伊乃国屋グループは2025年5月に100億宣言を行い、翌3月には6倍という倍率をくぐり抜け、中小企業成長加速化補助金にも採択された。

詳しくはこちら→100億企業成長ポータル

「正直、ここ鋸南町にお客様を呼び込むのってもの凄く大変なの。お客様は鋸南町に旅行に来るのではなく、紀伊乃国屋に来たいから来てくださっている。そのための苦労は並大抵じゃない。お客様に対してリピーターを作るとか、販売戦略をして自分たちで広告するとか、ここ鋸南町で培ったそういったノウハウを持って、もっとユーザーがたくさんいる観光地に打って出るというのが2つ目の柱。そのためのM&A」

「そしてもう1つの柱が鋸南町でもやっている一客一亭モデルの都市部での展開。自分たちだけで過ごせる一客一亭モデルってやはりニーズがあって、特に都市部で仕事に邁進してて日々忙しくされてる人たちはそういう空間を近場に求めてる。そうしたときに電話1本入れると家族だけで泊まれて美味しいご飯が食べられて、ちょっとした隠れ家のように過ごせる第3の居場所のニーズに応えたい。それが3つ目の柱。

※クリックで拡大します。
■紀伊乃国屋の100億宣言。上記ポータルサイトで確認できる。

「10年後には売上100億を目指す」と蛭田社長。紀伊乃国屋グループの躍進は今後も続きそうだ。

効率化・省人化・使い勝手の良さに重点を置いたこだわりの機器選定。

それではいよいよ厨房にお邪魔させていただく。熱機器のラインは当社のスチームコンベクションオーブン〈スーパースチーム〉からスタートしている。


■熱機器ラインは〈スーパースチーム〉から。

もともと紀伊乃国屋グループでは2015年にオープンした「ゆうみ」にて初めてマルゼン製のスチームコンベクションオーブンを導入していただいたが、その使い勝手の良さを評価していただき、以降は2020年オープンの「さざね」、2021年オープンの「amane」と続けて導入していただいている。そして今回オープンする「いっぺ」でも加熱調理の要として採用していただく運びとなった。

抜群の清掃性を誇るIHフライヤー低油量タイプを導入!

続いて目を引くのが熱機器ラインの中央に位置する当社製のIHフライヤー低油量タイプ。2024年の発売以来、「何も無い油槽」ゆえの抜群の清掃性と低油量、そして高い安全性能から問い合わせを多くいただいている製品だ。

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■IHフライヤー低油量タイプ。

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■油槽内は何も無いため清掃性が抜群だ。

当製品を提案した弊社営業も「清掃性の良さがポイントだった」とのこと。一般的に負担が大きいと言われるフライヤーの清掃作業を効率よく行えることで厨房のオペレーションへの貢献が期待できる。

作業者の負担を軽減する自動開ドア仕様ドアタイプ洗浄機。

そして洗浄機は当社製の自動開ドア仕様ドアタイプ洗浄機が導入されている。「1日に何十回もドアを開ける作業はかなりの負担。それを軽減したかった」とは当社の営業の弁。また「洗浄終了後に即、ドアが開くため食器の乾燥もスムーズに行える」とのこと。IHフライヤー低油量タイプと同じく、ここでも作業者の負担を軽減するとともにオペレーションを効率化する機器選定が行われている。


■自動開ドア仕様ドアタイプ洗浄機。

高火力のNEWパワークックガステーブル、連続スパーク方式オザキシリーズ

そして炒め調理に活躍する高火力のNEWパワークックガステーブルと、連続スパーク方式が魅力のオザキシリーズ スーパーインペリアル ガステーブルコンロも導入。紀伊乃国屋グループではかねてよりNEWパワークックシリーズをお使いいただいており、今回のいっぺでも導入となった。今回初導入となったオザキシリーズはやはり連続スパーク方式によるスムーズな点火動作が機器選定の決め手となったとのこと。

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■NEWパワークックガステーブル。紀伊乃国屋グループでは同シリーズをご愛用いただいている。

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■オザキシリーズ ガステーブルコンロ。炭火の熱から保護するためにアルミホイルを巻いている。

重視したのは「効率」と「従業員満足度」

「いっぺ」の厨房について蛭田社長は語る。

「やっぱりいいサービスを提供するには従業員満足度が一番必要なんです。よく言うじゃないですか、『顧客満足度を上げるには従業員満足度を上げるべき』と。それには仕事のしやすさが一番大事。マルゼンの営業さんがそこをしっかりと考えてくれて、効率の良い動線の厨房を作ることができた

当社のソリューションが紀伊乃国屋グループの従業員満足度向上の一助となれれば光栄である。

「生まれ育ったこの地域への恩返し」

紀伊乃国屋グループは千葉の魅力ある食材をPRすることで地産地消の推進に貢献するだけでなく、地域の遊休資産活用を通じて空き家問題にも取り組み、何よりもここ鋸南町で200人を雇用するなど地域経済の循環に多大なる貢献をしている。いわば紀伊乃国屋グループの事業そのものが鋸南町の地域創生に直結していると感じるのだが、蛭田社長にその想いを伺った。

「やっぱり観光業っていうのはさ、その土地に食べさせてもらっているわけじゃない?僕がどんなにいい宿を作ろうとしたってこのビーチとこの夕日には敵わない。食材だって地域の人が獲ってきてくれるから提供ができる。地域が成り立たないと観光業は成り立たない。そこはやっぱり、恩恵をいただいている分は恩恵を返していかないと。そういう想いはあるよね」

--手掛けられる事業のスケールが年々大きくなっていて、良い意味でより多くの人たちを巻き込む大きな循環を生み出されているような印象があります。そういう実感はあるのでしょうか。

「そうね。実感か。やっぱり僕は生まれ育ったこの地域を良くしたい、恩返ししたいっていう思いがずっとあって、大きくなることが本当のすべてではないけれども、やっぱりお客様が喜んで、従業員が喜んで、地元の人が喜んで、それをやろうとすると自然と大きくなってきた。そんな感じですよ。」

「予約の取れない宿」として名を馳せるばかりでなく、100億宣言という大きな目標を掲げてさらなる邁進を図る紀伊乃国屋グループの蛭田社長。その原動力の源は生まれ故郷への想いなのかもしれない。

―― SHOP INFO ――

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紀伊乃国屋グループ
千葉県安房郡鋸南町竜島970-6
Tel. 0470-55-1571
公式グループサイト

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